こんな方におすすめ
- エスキスがなかなか進まない
- エスキスの方法がわからない
- 図書館のエスキスが見たい
令和5年度の一級建築士設計製図の試験課題は「図書館」でした。
過去の図書館系の課題では平成24年度の「地域図書館」などがあります。
そこで今回は、平成24年度の「地域図書館」のエスキス例を上手くいったものと、上手くできなかったもの含めて10パターンご紹介します!
この記事を読むと、「図書館」で要求される可能性のある部屋のエスキス参考になると思います。
それでは早速どうぞ!
課題発表の本文は建築技術教育普及センター(試験元)からご確認ください。
Contents
H24一級建築士設計製図試験の課題
平成24年度の一級建築士設計製図試験の課題は「地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)」でした。
敷地は西と北に公園が広がり、東と南には幅員16mの道路があります。
建築物は地下1階、地上2階建てで、作図するのは1階と2階の平面図に断面図、2階梁伏図が要求されています。
要求室は図書館部門と集会部門、共用・管理部門に分かれ、メインエントランスを道路側、サブエントランスを公園側に設けるよう指示があります。
さらに、150㎡以上のまとまった吹き抜けも要求されており、どこに計画するかが難しい課題になっています。
過去の課題はこちらにまとめています。
H24一級建築士設計製図試験のエスキス参考
1|スタンダードに解いてみた
スタンダードに余裕のある集会部門を吹き抜けで面積の潰れる2階、図書館部門を1階に配置したプランです。
図書館部門の方が面積が大きいので、1階に配置するとエスキスがしやすいのと、本でかなりの重量になる事が想定される一般開架スペースを、柱の少ないホールの上に計画する事がないので構造的にも有利です。
吹き抜けは一般開架スペースの上部に配置し、150㎡以上の条件をクリアしています。
図書館部門の新聞・雑誌コーナーは1階に入らなかったので、2階に設けています。
標準解答例でもAVコーナーと情報検索コーナーを別のフロアに計画していたりするので、これくらいは大丈夫でしょう。
外構がドライエリアによってクネクネしてしまっているのが残念です、、、
2|管理ゾーニングがスッキリ
管理部門を交差点側にまとめて配置して動線をスッキリとさせてみました!
メインエントランスと公園側へのエントランスが直線上にあり、サービスカウンターが底の中間にある為、図書館部門をくまなく見渡す事が可能です。
カフェは公園側を向いており、厨房には管理部門から直接入る事ができるようになっています。
2階も倉庫や講師控室に管理部門から直接アプローチする事ができるようになっており、利用者との動線を明確に区分けしています。
3|カフェを交差点側に
カフェが公園側にある事が多いので、交差点側に持ってきたプランがこちらです!
交差点側にカフェがあることで、一般開架スペースを公園側に向ける事ができ、公園を眺めながら本を読むことができます。
2階にはスペースが余ったのでラウンジを配置しています。
4|吹き抜けを真ん中に
吹き抜けは一般開架スペースの上に配置するとゾーニングしやすくなるので、上3つでは端っこに計画してきました。
吹き抜けを真ん中に配置してみたらどうだろう、ということで考えたのがこちらです!
吹き抜けの下にトイレがきてしまっているので、サービスカウンターと入れ替えが必要かなとは思いますが、それ以外はうまくいったかなと思っています。
2階は吹き抜けが真ん中にあることで、風の流れが生まれることと、廊下の見渡しがしやすくなったので避難にも有利に働くと思います。
会議室が細長くなってしまったのが少し気がかりです。
5|地上3階に変更、コミュニティセンター機能追加
機能をさらに追加して、地上3階までに変更して考えてみました。
追加した機能としてはコミュニティセンターで、吹き抜けも3階まで設けています。
コミュニティセンター機能として、こちらの部屋を追加しました。
- 集会室
- 教室
- 調理実習室
- サークル室
- 休憩コーナー
- 湯沸室
- 屋上庭園
1、2階は下の課題分通りなので計画的には変わりはありません。
1階に図書館部門、2階に集会部門を計画しています。
3階にコミュニティセンター機能を配置し、集会部門の会議室などは3階に入れ込みました。
機能的にもコミュニティセンターは集会部門の延長のような形ですね。
また、屋上庭園を公園側に計画し、見晴らしに配慮しています。(南側は日当たりはいいが、道路のため北の公園側に計画)
6|敷地条件を変更
同じ敷地条件だと考えられるプランが似てきてしまうので、大きく敷地条件を変更して考えてみました。
変更した敷地条件はこちら。
- 横長→縦長
- 東側:メイン道路
- 西側:公園
- 南側:公園
- 北川:スポーツセンター(動線を設ける)
敷地条件を変更したことにより、吹き抜けが小さくなってしまいました。
1階にホールの機能を配置し、2階に図書館の機能を持っていきました。
本は重いので、ホールの直上に一般開架スペースの配置は避けています。
7|6の別バージョン
上で考えたものの別プランです。
変更した敷地条件はこちら。(6と同様)
- 東側:メイン道路
- 西側:公園
- 南側:公園
- 北川:スポーツセンター(動線を設ける)
吹き抜けのサイズが大きくできましたが、建物の形状が南側に2スパン飛び出てしまいました。
1階はホールを配置していますが、スペースが少し余っています。
2階は吹き抜けが真ん中にあるので、ホールの直上に一般開架スペースを配置せざるを得ませんでした。
吹き抜けを囲うように、児童開架スペースと新聞・雑誌コーナー、読書室を配置しています。
8|ゾーニング失敗、重複距離アウト
1階に集会部門を設け、カフェを北西側の角に配置したプランです。
2階で管理部門と利用者動線のゾーニングが上手くまとまらなかったです。
このプランも小ホールの上に一般開架スペースがあるので、構造的には少し不安が残ります。
9|ホワイエの納まりが微妙
カフェの上に吹き抜けを設けた美術館のようなスタイルで考えてみました。
一般開架スペースと大きさの近い小ホールを上下に同じ場所に配置する事ができるのが利点です。
2階のホワイエが小ホールと吹き抜けに圧迫されて面積が小さくなってしまったのがイマイチでした。
10|ホール1階、ゾーニング失敗例
ホールを1階に横長に配置した例ですが、いろいろなところに無理が生じてしまいました、、、
1階は横長のホールに沿うようにホワイエを計画しましたが、細長くなり過ぎてしまいました。
吹き抜け部分もかなりスペースが余っているので微妙な感じです。
2階は管理用動線と利用者動線が入り混じる計画になってしまい、ゾーニングが失敗だったなと思っています。
【まとめ】R5年度は「図書館」!過去の似た課題を見ておこう
平成24年度の「地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)」の課題でエスキスを10個ご紹介してきました。
令和5年度の試験は「図書館」なので、平成24年度と似たような出題がされる可能性があります。
個人的には2つ目、3つ目あたりが一番上手くまとまったかなと思っています。
過去問の研究をしているのと、していないのとではかなり差が開くと思っているので、ぜひ参考にしていただけたらと思います!
それではまた。