僕はイスが好きで、家にもいくつか名作イスと呼ばれているイスがあります。
今回は東京都現代美術館で行われている「ジャン・プルーヴェ展」に行ってきましたので、ご紹介していきたいと思います。
こんな方におすすめ
- フレンチビンテージが好き
- ジャン・プルーヴェのイスが気になっている
- 工業デザインが好き
展覧会概要
「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」は建築や工業デザインに大きな影響を与えたジャン・プルーヴェの手がけた家具や建築が、実物や模型、図面、スケッチなどの資料とともに展示されています。
概要
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/地下2F
会期:2022年7月16日(土)〜10月16日(日)
開催時間:10:00〜18:00
観覧料:一般2,000円
大学生・専門学校生・65歳以上1,300円
中高生800円
小学生以下無料
ジャン・プルーヴェとは?
ジャン・プルーヴェはフランス生まれの建築家で、活躍した当時のフランスではアール・ヌーヴォーが全盛期でした。
アール・ヌーヴォーとは?
19世紀末から20世紀初頭にかけて開花した芸術運動で、草木などの有機的なモチーフや曲線を多用した装飾デザインが特徴です。
鉄やガラスなどの当時は新しかった素材を積極的に取り入れているため、分野は建築、工芸品など多岐にわたった。
初期は金属工芸家として、当時としてはまだ先進的な素材だったスチールを使用したイスなどの製作を行っていました。
第二次世界大戦を境に、戦火で家を失った人々の仮設住宅として、製作の簡単なプレファブ住宅の設計などを生み出した人物です。
大量生産のためにデザインされたイス
ジャン・プルーヴェはイスだけでなく、家具全般の設計を行っていましたが、とりわけイスに関しては重要視していたのかデザイン数が多く、名作といわれるイスも何脚も生み出しています。
僕もジャン・プルーヴェがデザインしたイスは好きですが、一番好きなのは代名詞ともいえるスタンダードチェアと呼ばれるものです。
スタンダードチェアはナンシー大学都市のコンペティションのためにデザインされたもので、プライウッド(木材)とスチールの異素材の組み合わせが当時としては先進的なものでした。
後ろ足が太くなったデザインには金属工芸家としてのこだわりが詰まっており、構造上負荷のかかる後ろ足に耐久性を上げるために幅広の三角形の形状を採用しています。
この構造美がジャン・プルーヴェの象徴的なデザインとなり、以降、様々なイスで似たデザインを採用しています。
僕も大学の時は構造の研究室だったので、デザインとして昇格された構造美はかっこいいと感じます。
ちなみに余談ですが、フランスには他にも構造がデザインとして前面に表れている建築物があります。
それはエッフェル塔です。
エッフェル塔の完成当時はこんなものパリに似合わないだとか、散々言われていた(「エッフェル塔が嫌いなやつは、エッフェル塔に行け」ということわざがあるほど)ようですが、今ではパリの象徴として世界中で愛されている建築物です。
石造りの建物が多いパリに突如として現れた鉄骨の塔というのも当時の人は違和感があったようですが、これも構造的にとても理にかなったデザインなのです。
あの高さの塔を石造りで建てようとすると風を受けてすぐに倒れてしまいますが、鉄骨であれば鉄骨同士の隙間から風が抜けるので、耐久性を高めることができます。
”構築家”ジャン・プルーヴェの建築
金属工芸家だったジャン・プルーヴェは第二次世界大戦をきっかけに、さらに大きなものの製作をスタートします。
簡単に組み立て・解体の可能な建築物としてプレファブ建築の設計に取り掛かります。
ジャン・プルーヴェのプレファブ建築は「ポルティーク」と呼ばれる構造体とファサードを分離して構築することで、より簡易に組み立てられるように考えられています。
戦後の混沌とした状況下で、このプレファブ住宅に救われた人々は大勢いました。
このような功績から、パリのポンピドゥー・センターの国際設計コンペにおいて審査委員長を務め、リチャード・ロジャースとレンゾ・ピアノの案を選出しました。
展覧会ではプレファブ住宅の実寸模型もあり、実際に当時のプルーヴェの設計思想に触れることができるほか、プレファブ住宅を組み上げている映像のタイムラプスが流れていたりと、組み立てるまでの速さも実感することができました。
まとめ
今回は東京都現代美術館で開催されているジャン・プルーヴェ展についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
開催期間も残り少しとなってしまいましたので、興味のある方はお急ぎください!
それではまた。