こんな方におすすめ
- 一級建築士試験の受験を考えている
- 一級建築士の学科試験ってどんな感じ?
- そもそも自分は申し込みできるの?
一級建築士は国が定める国家資格の一つで、大規模建築物を設計施工できるようになるため、難易度も高い部類に設定されています。
実務の経験も非常に大事になってくるため、資格登録するために実務経験が必要となります。
大規模建築物になればなるほど、街や多くの人への影響が大きくなるので、難易度が高く設定されているのも頷けますね。
それほど重要で社会的責任のある資格ということですので、一級建築士の資格を多くの人が狙っているのです。
一級建築士の試験には1次試験の「学科の試験」と2次試験の「設計製図の試験」の2つがあり、両方に合格しないと一級建築士を名乗ることができません。
1次試験も2次試験もとても難しいので、年間を通して勉強をしていないと合格することが難しい、とても厳しい試験です。
また、近年制度が改正され、学科試験合格後5年のうち3回まで設計製図試験を受験できるようになったので、今までよりは多少合格しやすくなったのかなと思います。
今から一級建築士の受験を考えている方は2次試験以降のことを心配しても仕方ないので、まずは1次試験の学科試験から突破できるように集中して乗り越えていきましょう!
この記事を読むと一級建築士の学科試験合格までの道のりが明確になります。
それではどうぞ!
製図試験のロードマップはこちらからどうぞ!
Contents
申込要項
まずは試験に申し込みをしなければ始まらないので、申込要綱から確認していきましょう。
一級建築士の試験は誰でも受験できるわけではなく、指定の学校を卒業した者か指定の資格を取得している者に限られます。
ここではその詳細を解説していきます。
受験資格者
一級建築士の試験を受験するためには、法律にて下のように定められています。
- 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者
- 二級建築士
- 建築設備士
- その他国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者等)
また、学歴については入学が平成21年度(2009年度)以降か以前かで要件が若干異なりますのでご注意ください。
自分が指定の科目を修めているかわからない
という方は、卒業した学校に問い合わせれば調べてもらえると思います!
以前は一級建築士試験を受験するにも実務経験が必要でしたが、令和2年から改正され、実務経験は後回しにして受験できるように変わりました。
詳細はこちらの記事にまとめています。
申込方法など
自分に受験資格があるのがわかったら、今度は期限に遅れないようにしっかりと申し込みをしましょう。
すでに令和6年度の申込期間は発表されており、令和6年4月1日(月)10:00~4月15日(月)16:00までとなっています。
例年4月上旬から4月中下旬ごろと決まっていますが、申込期間は2週間と短いので遅れないよう注意してください。
申込の方法はインターネット受付のみで、受験料は17,000円となっております。
製図試験のみの方も同様の金額がかかってくるので、受験料だけでも出費が痛いですね、、、
試験会場は47都道府県に設置されますが、自分がどこの試験会場になるかは受験票がダウンロード可能になる試験日の約2週間前までわかりません。
受験票は郵送されてこないので、メール通知を見逃さないようにしないといけませんね。
スケジュール
学科試験合格までのスケジュールを確認して、焦らずに効率よく勉強を進めていきましょう。
資格学校によっては前年の秋から授業が始まるようなところもあるので、かなり長期戦になる方も多いと思います。
モチベーションを保つのが難しいですが、一級建築士になることを目指して学科試験突破を突破していきましょう!
受検申込からのスケジュールはこのようになっています。
申込から試験まで3か月しかないので、4月から勉強を始める方はかなり時間を割いて勉強しないと突破が難しいですね。
上のスケジュールには設計製図試験のことも書いてありますが、学科試験突破後に設計製図試験も受験する方がいると思うので、一緒に記載しておきました。
受験票は例年学科試験の約2週間前にネットからダウンロード可能になるので、印刷しておくのを忘れないようにしましょう。
試験当日はスマホなどを机の上に置いておくことができないので、受験票は紙で印刷しておく必要があります。
また、学科試験の会場は受験票に記載されているため、試験2週間前まで会場がどこかわかりません。
住んでいる都道府県内の会場になることは間違いありませんが、東京など多くの受験生がいる都道府県は試験会場がたくさんあるので、事前に調査することが難しいです。
何科目?試験時間や合格率は?
一級建築士の学科試験は全部で計画、環境、法規、構造、施工の5科目あります。
このうち計画と環境は合わせて2時間、構造と施工は合わせて2時間45分になり、法規だけは法令集を持ち込める関係上、単独で1時間45分の試験となります。
全部で6時間半もの長時間の試験となるので、当日試験を受けるだけでもかなりの体力と集中力が必要になります。
問題数は計画と環境がそれぞれ20問ずつ、法規と構造が30問ずつ、施工が25問でそれぞれ1問1点なので、合計で125点満点になります。
例年基準点が90点台に設定されるので、90点台後半から100点台であれば突破できるだろうと予測できます。
また、科目ごとに足切り点も設定されており、科目ごとに5割を間違えると足切りに引っ掛かかってしまい、他の科目がよくて全体では突破できる点に達していても不合格となることがあります。
ポイント
試験科目は5種類、合計点125点で例年90点台に基準点が設定される。
各科目5割以上間違えると足切りにひっかかるため注意が必要!
計画 20問 試験時間:環境と合わせて2時間
環境 20問
法規 30問 試験時間:1時間45分
構造 30問 試験時間:施工と合わせて2時間45分
施工 25問
学科試験の合格率
ここ6年の学科試験の合格率と合格者数は下のとおりです。
年度 | 受検者数 | 合格率 | 合格者数 |
---|---|---|---|
平成30年 | 25,878名 | 18.3% | 4,724名 |
令和元年 | 25,132名 | 22.8% | 5,729名 |
令和2年 | 30,409名 | 20.7% | 6,295名 |
令和3年 | 31,696名 | 15.2% | 4,832名 |
令和4年 | 30,007名 | 21.0% | 6,289名 |
令和5年 | 28,118名 | 16.2% | 4,562名 |
令和2年から建築士制度が変わり、受験者数が増えましたが合格率は大きく変動していないですね。
ただし、令和3年のように年によっては学科試験の合格率が著しく低い年もあるので、まだ何とも言えません、、、
このような年は総合的な合格者のバランスを取るために、設計製図試験の合格率が多少上がっていたりします。
ちなみに設計製図試験と比較すると学科試験の方が合格率が低く設定されていますが、これは記念受検の人も含んでいるからだと思われます。
それぞれの科目の特徴、どんな問題が出題されるの?
学科試験はどの科目も共通してマークシート方式の4肢択一式です。
構造の計算問題なども4肢択一式で出題されます。
多くは「誤っているもの」を選択させる問題ですが、中には「正しいもの」を選択させる問題もあるので、問題文はよく読み間違えないようにしましょう。
また、マークシート方式だからと言って簡単なわけではなく、出題範囲も広く理解度も求められるため、平均勉強時間は平均800~1000時間と言われています。
もちろん、これよりも多く勉強している人もいますし、これより短い勉強時間で突破してという人もいますので、あくまでも目安としてお考え下さい。
個人的には試験の難易度は変わらないどころか、毎年少しずつ難しくなっていると感じます。
以下では科目ごとの特徴やどんな問題が出題されるのかをご紹介していきます。
科目ごとの勉強方法はこちらからどうぞ!
計画
計画は実在する建築の特徴や街づくりなどの建築事例、建築を計画するうえでの寸法や考え方、歴史的建造物の特徴を問う建築史、積算関係などが出題されます。
それぞれのジャンルで幅広く出題されるので、すべてをカバーすることが非常に難しい科目です。
基本的に名称や人の名前、細かい寸法値など暗記することが多い科目なので、暗記が苦手な方にはとても難しい分野でしょう。
また、近年は過去に出題されたことのない建築実例なども出題されるようになってきており、教科書や過去問の知識とプラスしてどれだけ国内外の建築に触れてきたかが重要になってきます。
電車移動の時間など、空いた時間にネットで実際の建築物の写真などを検索して、視覚的に覚えていくのがオススメです。
出題されやすい実例を写真付きでまとめています!
環境
環境では空調や電気、衛生設備などの建築設備と、日照や温度などの環境工学から出題されます。
過去問に出題されたものと似たような問題が出題される傾向が強いので、過去問を重点的に勉強して理解していくことで高得点につなげやすい科目です。
建築設備では空調機器やキュービクルなどの電気設備の詳しい知識などを問われるのですが、学科試験だけでなく設計製図の試験でも使う知識が多いです。
そのため、設備系が苦手な方は今のうちによく整理して理解できるようにしたいところです。
環境工学では、数は少ないですが計算問題も出題されます。
構造とは違い、解き方がパターン化されているので、計算が苦手な方でもそこまで苦にならずに解けるんじゃないかと思います。
過去問に出た問題が少し言い回しを変えて出題されることが多いので、しっかりと解けるようにしておきましょう。
法規
法規は唯一、法令集の持ち込みが許されている科目です。
建築基準法をベースに建築士法や消防法、都市計画法、品確法、省エネ法・建設リサイクル法などから出題されます。
法令集が持ち込み可能だからといっても、試験時間中に全問題を法令集で検索している時間はないので、ある程度法律を理解し、覚えておく必要があります。
とはいえ、すべて覚えるのは難しいので法令集を早く引く練習もしておく必要があります。
配点が30点と高いので法規の苦手を克服して、できるだけ得点源にしたい科目ですね。
改正されたばかりの法律などは出題されやすいので、出題を読みやすいという特徴もあります。
法規が苦手と感じている方はこちらもどうぞ!
構造
構造では構造力学や一般構造・材料について出題されます。
計算問題が出題されることもそうですが、より深く理解していないと解けない問題が多く出題されるため、毎年難しいことが多い科目です。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの構造形式の違いと架構方式、地盤、基礎、材料などの特性を理解しなければなりません。
計算問題は毎年7問程度出題されるので、計算が苦手でも全てを捨てて他で取りに行くというような作戦は使えません。
計算問題は過去問と似たような問題が出題されることが多いですが、範囲が広いので理解に時間がかかる方も多いでしょう。
なるべく早く勉強を初めて理解をしていきたい分野の一つです。
施工
施工は施工計画、現場管理、土工事から建築工事まで幅広い工事施工知識、工事契約関係について出題されます。
工事現場を見たことが無い方は想像しにくく、苦手意識を持つことが多いかもしれません。
仕事で工事現場を見ることができる方は、頭の中で照らし合わせながら現場を見て回ると理解しやすいかもしれません。
業務上、工事現場に関わりが無い方はネットなどで検索して動画や写真などを見ながら覚えると覚えやすいと思います。
また、施工では似たような数値が頻出しますので、語呂合わせなどを使って間違えないように覚えていく必要があります。
合格する秘訣
5科目とも難しいのはわかったけど、なにか合格する秘訣は無いの?
最初に試験の概要を見た時は、僕もこのように思っていました。
毎年勉強するのも嫌だし、しっかりと効率よく勉強して突破していきたいですよね。
以下では、僕が受験して感じた合格するために大切だと思うことを解説していきます。
スケジュール管理をしっかりと!
僕は長期、中期、短期で勉強のスケジュールをしっかり組んで勉強していました。
何をいつまでにどのくらい勉強するのかを書き出して、苦手科目はこの期間に重点的に勉強して克服するなどの計画を立てていました。
例えば、長期スケジュールで1か月単位で何の科目を重点的に勉強するかを決めておき、中期スケジュールで週単位で問題集を1周終わらせるなどの目標を設定、短期スケジュールで毎日どこからどこまで勉強するかを決めていました。
慣れてくるとこの量だと何時間くらいかかるなというのがわかってくるので、1日に最適な勉強量が調整できるようになってきます。
こうしてスケジュールを立てていくことで、毎日何を勉強しようと迷う時間が無くなり、少しでも多くの時間、頭の回転リソースを勉強に費やすことができます。
問題一つ一つに対して何が違うのかを理解する
過去問や問題集を解くときは、試験のようにただ正解の選択肢を書いていくだけでなく、この選択肢の何が間違いで何が正しいのかをしっかり答えられるように勉強しましょう。
選択肢はあっていても何が違うのか答えられなかったら、その問題への理解度は不十分な証拠です。
少し角度を変えられて出題されると間違える可能性があるため、理解できるようになるまで繰り返し解くようにしていました。
1周目などは間違いだらけになってしまいますが、それでも繰り返し間違えた問題を解いていると、どこかで歯車が繋がりだし、一気に理解が進む場面が絶対に訪れるはずなので、あきらめずに努力することが大切です!
試験まで残り50日の勉強方法はこちらからどうぞ!
試験当日
6時間半もの試験時間になる学科試験の当日の話を体験談を交えてご紹介します。
設計製図試験ほどではありませんが、色々な人がいるので心を乱されないようにしておくことが大事です!
僕の試験当日の体験談はこちらからどうぞ!
心構え
周りで何があっても動じない、自分には関係ないという心構えで試験に臨みましょう。
試験前からみんなソワソワしていたり、やたらページをめくる音が聞こえてきたりしますが、いまさら焦っても意味が無いと思い、自分のやるべきことに集中できるようにしておくといいと思います。
さらに試験が始まるとすごく速いスピードでページをめくる音や、あきらめたのか寝始める人など、なかなか集中できない状況になるかもしれません。
今まで長い時間頑張ってきたのに、当日に本来の力を発揮できずに不合格になるのは悲しすぎるので、周りに影響されずに自分のペースでいることが大事だと思っています。
持ち物
試験の当日必要な物は下の通りです。
- 受験票
- 使い慣れた筆記用具
- 書き込みをした法令集
- 直前に確認する資料
最低限、この4つは忘れないようにしたいです。
受験票はネットからダウンロード可能ですが、スマホを試験時間中に机の上に出しておけないので、紙で出力したものを用意する必要があります。
筆記用具については今まで使い慣れたものを持っていくようにすると、変に気を使わなくていいと思います。
シャー芯などは途中で切れないように補充しておきましょう。
法規で使用する法令集は引きやすいようにマーカーをしていたりするはずなので、その引きなれた法令集を持っていきましょう。
過度な書き込みは試験前のチェックで使用禁止にされる可能性もあるので、事前に試験元のサイトを見て違反していないか確認しておくことが重要です。
最後に試験の休憩時間に最終確認する資料を持っていきましょう。
何もしていないよりは何かを見ていた方が落ち着くという方にもおすすめです!
独学は可能?おすすめの学校は?
学科試験は独学でも合格することが可能だと思っています。
独学のメリットとして費用が安い、自分のペースで進められるといったことがある一方、デメリットとして最新情報を取得する機会が少ない、スケジュール管理が難しいなどがあります。
資格学校に通っていれば、その年の出題傾向など自分から情報を拾いに行かなくてもある程度、情報を与えてもらえますが、独学の場合はそうもいきません。
ネットやYouTubeなどを駆使して自分から能動的に情報を集めたり、資格学校の模擬試験を受け、どのような問題が出題されているのか調査する必要があります。
また、試験日までの勉強スケジュール(何をいつまでに勉強していくか)も自力で考えて、実行していかなければいけないので、意志が強くモチベーションを保てるという方は独学でも学科試験突破を狙えると思います。
資格学校には総合資格や日建学院、TACなどの通学して授業を受ける体制がメインの学校と、スタディングなどのオンラインがメインの学校があります。
通学のメリットは周りの受験生を見てモチベーションを維持することができる、強制的に勉強することができるなどで、オンラインのメリットは好きな時間に授業を受けることができる、理解度に合わせて動画再生スピードを調整できるなどがあるかと思いますので、自分に合った方法で勉強していくことが大切だと思います。
僕の場合は効率化を図るために、TACで授業動画を1.5倍速で流して勉強していました。
少し早い方が集中して聞くことができるので、より理解度が上がった気がします。
ネットで無料で見れる、独学でおすすめなサイトはこちらからどうぞ!
まとめ
今回は一級建築士学科試験合格のためのロードマップをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
必要な勉強時間や出題される科目など試験の全体像が分かると、その量に圧倒されますが計画が立てやすくなったのではないでしょうか。
学科試験合格までの道のりは遠いですが、一歩一歩頑張っていきましょう!
また、4月になると試験の申し込みが始まり、期間が短いので忘れないように注意です!
このブログではこれからも一級建築士試験に役立つ記事を発信していく予定ですので、参考にしていただけたら幸いです。
それではまた。