一級建築士試験

【一級建築士/製図試験】要求室の位置はどうやって決まるの?エスキスプランの考え方

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8月も明日で終わりますがエスキスに苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか?

僕も初年度の時はいくらやってもエスキスができるようにならず、すごく焦っていた記憶があります。

そこで、エスキスを考える上で、どのように組み立てるようにしていたか、どういう順序で部屋の場所を決めていっていたかを令和3年度の試験をもとに解説していこうと思います。

エスキス手順についてはこちらの記事もどうぞ!

それではどうぞ!

エスキスであると便利なもの

  • フリクションボール
  • 蛍光ペン
  • 15cm定規
  • 電卓

こんな方におすすめ

  • エスキスが苦手だ
  • どう考えたら良いかわからない
  • エスキスに時間がかかりすぎる

 

設計製図試験に求められるもの

実務では施主の希望を反映しつつ、かっこいい建築物を計画することが求められることがありますが、この試験はかっこいい建築を計画するより、とにかくミスが少ないプランが合格します。

とにかく法令を遵守し、試験問題に記載されている条件を満たした上でシンプルなプランニングができれば合格する試験なのです。

そのため、試験問題に書いてある以外の条件を足したり、思い込みからこの部屋はここがいいだろうというようなことをしないようにする、ということを念頭に置いて解くようにしましょう。

頭ではわかっていても、資格学校などの課題を多くやっていくと、いつもこうだからという思い込みから、試験問題には書いてないのに、この部屋は南向きがいいだろうなど考えてしまうので注意が必要です。

ポイント

試験問題に書いてある条件に忠実に!

思い込みで条件をプラスしない事が大事

最初に自分ルールとして決めておくと良いもの

毎回問題が違うからといってエスキスの全てをイチからやっていたのでは時間が足りなくなってしまいます。

そこで、ある程度とっかかりとなるようなところを最初から決めておき、問題の条件に合わせてそこから変更していくというやり方を取る方が時間の短縮につながります。

資格学校の課題だと最後の方は難しくなるので、このやり方では通用しないような問題も出題されるかもしれませんが、本試験ではそこまで難しく、回答例が狭められるような出題はされないので大丈夫です。

詳しくはこちらの製図試験のポイントでもお話ししています。

僕がとっかかりとして最初に考えるように決めていたのは次の通りです。

自分ルール

  • スパン割り
  • コアと廊下の位置
  • エントランスの形状(吹き抜け込み)
  • 大きい部屋の場所

順番に解説していきます。

1|スパン割り

ますはスパン割りですが、出題によって敷地の大きさも違えば、道路や周辺の建物の状況も違うので、スパン割りを考えるのは難しいですよね。

どのスパン割りが一番計画しやすいか迷っているとそれが時間のロスにつながるので、最初にこのスパン割りで考えるというのを決めていました。

先ほどもお話しした通り、本試験の問題は複数の回答パターンが作れるように自由度が高く設定されているので、このスパン割りじゃなければ計画できないということはあり得ないと言っても過言ではないと思います。(難易度が上がる可能性はありますが、、、)

 

そのため、本試験では最初に考え始めたスパン割りで、ある程度うまく計画できるという事が多いです!!

 

僕が令和3年度の試験で、最初に考え始めるようにしていたスパン割りは7m×6mです。

シカマル
7m×6mのスパン割は汎用性が高く、スパンの数も多く取れるので住戸を複数計画しなければならない試験では使いやすかったよ!

スパン割りの決め方についてはこちらの記事もどうぞ!

2|コアと廊下の位置

スパン割りによってコアと廊下の位置はある程度パターンにしておきましょう。

僕のパターンは下の通りです。

最初に廊下の位置を決めておくと真っ直ぐに廊下を通しやすく、ぐちゃぐちゃした計画になりにくいです。

シンプルな計画が合格への近道なので、廊下をまっすぐに通すことは重要といえます。

コアと廊下の位置の決め方についてはこちらの記事もどうぞ

3|エントランスの形状(吹き抜け込み)

シンプルな計画でもう一つキモになるのは、エントランス付近の動線計画です。

エントランスから真っ直ぐに入って、受付がありEVが近くにあるという計画が動線計画としてもわかりやすくていいですよね。

過去の標準解答例を見ると、こうなっていない計画も多々あるので、シンプルなエントランスじゃないと不合格になるかと言われると、そうではないと思います。

ただ、シンプルになっていない場合はそれ相応の理由があるので、闇雲にエントランスの動線を複雑にする計画はやめた方が無難でしょう。

4|大きい部屋の場所

大きい部屋はできるだけ角に配置するようにしていました。

角に配置しないと大きい部屋の向こうに行く廊下を無駄に計画しなければならなくなるためです。

他にも1階に大きい部屋を計画する必要があるときは、エントランスから対極にあたる位置になるようにしていました。

エントランス周辺は受付やEVなど細かいスペースが多く、それと対極の位置の方が大きくまとまったスペースを確保しやすいからです。

何からエスキスを考えていくか

僕がエスキスを考える際にどう考えているかを言語化していこうと思います。

何も例がないとわかりにくいと思うので、令和3年度試験(共同住宅)を例にエスキスをしていこうと思います。

エスキスの一番最初に問題文の条件整理(延べ床面積や斜線制限、部屋の条件など)をまとめ、一発不合格にならないようにします。

この時にスパン割りについても仮で決めておくようにしていました!

問題文の条件以外は全て”仮決定”で、ここから先に不都合が生じた場合は変更するんだという心持ちでいましょう。

詳細はこちらからどうぞ!

1|コアと廊下

条件整理が終わったら、スパンの寸法などを気にせず、各階のボリュームが仮決定したスパン割りの中に入るかどうかの検討を行っていきます。(以降チビコマと呼びます)

まずはパターン化していた通り、7m×6mで計画を進めていきます。

コアと廊下もひとまずは最初のパターンの位置で進めることにします。

2|大きい部屋や条件指定がある部屋

続いて大きい部屋をどんどん決めていきますが、令和3年度の場合は一つの巨大な部屋は少ないので、住戸A~Cを全戸で見た時に面積が一番大きいとして場所を仮決めしていきます。

僕は住戸Cを2階の南面に収めるために横7m×5スパン、縦7m×4スパンに変更することにしました。

このスパン割りだと住戸C(面積指定:約25㎡ 戸数指定:10戸以上)がちょうど横並びで10戸入れる事ができます。

また、この時点で2階以上はコアの位置が合わないことがわかるので、邪魔にならなさそうな右上に場所を変更します。

2階には住戸Cの入居者が利用する共用室(共用室に隣接が条件の屋上庭園も)を置けると動線的にいいので、余った左上に仮置きしておきます。

屋上庭園が北側になりますが、問題文の条件には南側がマストとは書かれていないので問題ありません。

今度は住戸A(面積指定:約75㎡ 戸数指定:3戸以上)、B(面積指定:約50㎡ 戸数指定:2戸以上)が基準階に収まるかの検討です。

住戸Aは廊下とバルコニーをスパンの中に入れて計画すれば面積はほぼピッタリですね。

住戸Bは住戸Aと同じ取り方をすると大きくなり過ぎてしまうので、一旦、光庭で面積を調整しておくことにします。

面積が大きい場合はいくらでも調整のしようがあるので、このまま進めます。

3|エントランス

続いて1階もどんどん計画していきます。

エントランスをまっすぐ計画できるようにしていきましょう。

最初に決めておいた廊下の位置にエントランスを置けると、まっすぐ通りそうなので仮置きします。

エントランスの場所が決まると、管理人室やメールコーナーなどの場所も決まってくると思うので合わせて入れ込んでいきます。

コアの位置との兼ね合いも良さそうですね。

ここで、コアとの動線が悪ければコアの位置を変更するか、エントランスの位置を変更するようにしましょう。

注意ポイント

この後でカフェや学習塾が入るので、いつでも場所をずらせるようにしておきましょう。

4|その他の部屋

その他の部屋も面積の大きいものや、条件指定のあるものから順番に仮置きしていきます。

今回は学習塾とカフェから入れていきましょう。

カフェは問題文の中の「要求室」には道路に面してとの条件は書いてありませんが、問題文の一番最初、設計条件の前置きの部分に「外部から利用しやすい」と記載があるので、大きい道路に面して計画するようにします。

学習塾も同じように大きい道路に面して入り口を設けたいので、カフェの上に入り口を計画します。

学習塾は面積も大きく、必要な小部屋も多いので、1/400のエスキス時にそれぞれの小部屋が計画できるかを確認するようにしましょう。

学習塾はカフェがあるせいで不整形になりますが、面積が大きいので致し方なしとして一旦、このまま進めます。

続いては駐輪場を計画していきます。

駐輪場は道路に面している方が動線的にはいいので、残りの道路側を優先的にあてがいます。

駐輪場(1)、(2)ともに奥行きを確保すればなんとか入りそうですね。

ここまで来たら残った部屋をどんどん入れていきましょう。

今回は共同住宅のため、二方向避難の階段を外部に計画するようにしていますが、内部に計画する場合は最初からコアの位置を2つ仮置きしておくようにしましょう。

詳細な寸法を落とし込んだエスキスではないので、ある程度スペースが余っていても大丈夫です。

5|外構

内部のボリュームが入りそうなことを確認できたら、外構も確認するようにしましょう。

近年の試験は駐車場の台数が多かったり、外部スペースも面積を多く求められるのでうまく入れる事ができるか寸法だけあたっておくと間違いが少ないと思います。

6|1/400でエスキスを詰める

ボリュームが収まりそうな事がわかったので、あとは1/400で詳細にエスキスを詰めていきましょう。

先ほどのチビコマで計画した位置から多少ずれたり、面積が入らないのでスパン割りを一部変更したりなど出てくると思いますが、変更が生じても基本的には考え方は上で書いたのと同じように考えていきます。

僕の場合は2階で廊下が二重になってしまいましたが、その他の部分がうまく入りそうなので、そのまま行くことにします。

1/200でA2の解答用紙に全て描き切るまで決定ではないので、いつでも変更できるんだぞ、という気持ちでいましょう。

まとめ

今回は僕のエスキスの考え方をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

人によって色々な思考プロセスがあると思いますので、一概にこの方法で全員が合格するとはいえませんが、苦手意識がある方の少しでも参考になれば幸いです。

それではまた。

  • この記事を書いた人

シカマル

普段はApple製品で身を固めている一級建築士です。 現在は賃貸で妻と娘と三人暮らし。 将来は中古マンションをリノベーションして住みたいと考えています。 北欧インテリアやガジェットが好きで、一級建築士試験の話やトラベルログなどを書いている雑記ブログです。

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