2023年度も一級建築士設計製図試験の課題が7/21(金)に発表されました!
こんな方におすすめ
- 2023年度の一級建築士製図試験を受験予定
- 製図試験の要点を知りたい
- 過去問との違いは?
例年、学科試験直前に発表されることが多い、一級建築士製図試験の課題ですが、2023年度は「図書館」でした!
2022年度の「事務所ビル」に引き続き、シンプルな課題設定になっています。
課題がシンプルな分、昨年のように問題文の中で例年とは違う面積表の求められ方などする可能性がありますね!
過去問を遡ると基準階型ではない課題は令和元年の「美術館の分館」以来の登場となります。
さらに、「図書館」の課題としては平成24年度(2012年度)の「地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)」以来、11年ぶりの施設です!
そこで今回は、2023年度の製図試験課題である「図書館」について解説していこうと思います!
この記事を読むと、「図書館」の課題で出題される可能性のある内容や昨年度までとの違いを知ることができます。
それでは早速いきましょう!
Contents
2023年度一級建築士設計製図試験の課題内容
- 課題名:図書館
- 要求図書
- 1階平面図・配置図(縮尺1/200)
- 各階平面図(縮尺1/200)
※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。
- 断面図(縮尺1/200)
- 面積表
- 計画の要点等
- 建築物の計画に当たっての留意事項
- 敷地の周辺環境に配慮して計画する。
- バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。
- 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
- 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
- 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
- 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。
- 注意事項「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不適合又は不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。
< 受験者の皆様へのお願い >
課題の参考となるような施設に対して、見学等の要請を行う場合には、施設管理者の指示に従う等、社会通念上、良識のある行為、言動等に留意してください。
2023年度一級建築士設計製図試験「図書館」とは?
一級建築士設計製図試験で過去に図書館が題材とされたことは、平成21年の試験内容見直し以降だと平成24年度「地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)」のみとなっています。
さらに遡ると、平成9年度「緑豊かな吹抜け空間のある地域図書館」、平成4年度「アトリウムと小ホールをもつ地域図書館」などが出題されていました。
近年のトレンドである副題のない課題名なので、図書館の他にどんな施設が内包された課題になるのか、広く考えて勉強しておかなければいけない課題ですね、、、
何階建てか?
「図書館」系の課題は過去問では地上2階・地下1階建て、もしくは地上2階建てで出題されていましたが、今回発表された課題分には「各階平面図」との記載しかないので、何階建ての建築になるかは絞り込めない状況です。
地下階が要求されてもいいように、地下平面図と地価のある断面図の描き方は練習しておいた方が良さそうです!
また、図書館には本を格納する書架が必要で、かなり重い設備になってくるので、昨年の事務所ビルのような高層建築にはなりにくいのではないかと予想しています!
要求される可能性のある部屋
どの課題でも必要になるエントランスホールや事務室、設備スペース、エレベーター、トイレなどの他に、図書館ならではの部屋としてこちらのようなものが考えられます!
- 一般開架スペース
- 児童開架スペース
- 新聞・雑誌コーナー
- サービスカウンター
- 読書室
- 作業室
過去問では「図書館」に限らず、カフェなどを併設した施設も多く出題されるので、上記にカフェが入る可能性もあります。
また、過去問ではホールや吹き抜けのある大空間を求められているので、今回も試験問題の中で大空間を要求される可能性は十分にあります。
図面を描けることはもちろん、構造上の特性や環境に配慮した記述対策なども勉強しておきましょう!
要求される可能性のある環境設備
設備としては、大空間の空調機械室の位置と給気・還気ダクトのルートの計画や、一般開架スペースにおける自然採光及び日射遮蔽の計画、吹き抜け空間の空調計画などが出題される可能性が高いと考えています。
特に2023年度現在の日本建築学会・会長である田辺 新一氏は建築環境学が専門の方なので、環境に配慮した設備や空調・照明計画は非常に重要だと思います!
ただし、図書館については採光は建築基準法にて定められていないので、注意が必要です。
課題発表から考える2022年度試験との違い
毎年少しづつ変更がある課題発表ですが、2023年度の変更点はよりシンプルになっていましたね!
2022年度は記載のあった、下記の文言が2023年度はまるっと無くなっていました。
- (注1) 建築基準法令等に適合した建築物の計画 (建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)とする。(注2) 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する「建築物移動等円滑化基準」を満たす計画とする。
- < 受験者の皆様へのお願い >昨今の新型コロナウイルス感染症への対応に鑑み、課題の参考となるような施設等の見学を行うことは、お控えいただきますようお願いいたします。
試験が易しくなったわけではなく、当たり前に計画して来いよという内容に変わったために注意書きが削除されたのではないかと思われます。
また、コロナの文言については5月に5類に移行したことにより特別注意事項として記載する必要が無くなったということでしょう。
2022年度から建築物の計画に当たっての留意事項の中に「二酸化炭素排出量削減」という項目が新たに加わりましたが、今年度も引き続き環境に配慮した対策が必要となります。
2022年度の課題内容を比較したい方はこちらからどうぞ!
2023年度一級建築士設計製図試験のポイント
実は2023年度の建築設備士試験の製図試験も「市街地に建つ図書館」と、用途が一致しています。
このように一級建築士試験と他の試験で、用途が一緒になることは非常に稀なようです。
建築設備士試験の製図試験日が8/20(日)なので、どんな試験が出たのかチェックしておきたいところです。
また、図書館以外の用途としてカフェやレストラン、会議室、ホールなどの併設が過去問ではよく出てくるので、図面として描けるように練習しておきましょう!
図書館ならではのものだと、書架を大量に描かなければならないことが想定されるので、書架同士の幅や大きさなどを覚えておくと便利だと思います!
【まとめ】昨年度までと違う?!2023年度課題「図書館」について
2023年度の一級建築士設計製図試験の課題は「図書館」でした。
昨年までの基準階型の建築物とは違い、大部屋を求められる建築なので今までとは違ったエスキスの考え方が求められると思います。
課題発表での昨年との違いは、「建築基準法に適合した建築物の計画とする」という文言とコロナ関係の文言が削除されただけでした。
まだ本番の試験問題でサプライズが来る可能性は全然あるので、試験当日までに対策を重ねていきましょう!
それではまた。