今回は小さいけど重要なPS、DSなどの設備系の解説をしていこうと思います。
無いといけないのは知っているけど、どこに計画するのが正しいのか、毎回DSは必要なのか、よくわからずに図面を描いている方も多いと思います。
そんな方のために設備系スペースについてわかりやすく説明していきます。
エスキス手順についてはこちらの記事もどうぞ
それではどうぞ!
こんな方におすすめ
- PSはどこに設置したらいいの?
- DSが無い図面も見たことがあるけど、どんな時に必要なの?
- いつ設備スペースの場所を考えたらいいの?
Contents
PS(パイプスペース)について
PSは給水・給湯設備のために設置されることが多い部屋です。
役割やどこに設置するのが望ましいのか見て行きましょう。
役割
給水・給湯設備まで水を持っていくためのパイプが通っている部屋です。
給水方式によりますが、1階にポンプ室や受水槽室を計画し、そこから各階に水を運ぶためのパイプが通っています。
給湯については屋上に給湯器を置く場合もありますので、屋上設備スペースから下階にパイプが伸びていきます。
また、空調でもPSが必要で屋上などに設置されている熱源機とファンコイルユニットを繋ぐ冷温水配管を通したりします。
どこに設置するのがいいの?
受水槽室や屋上の空冷ヒートポンプ給湯器などから各階にパイプが伸びているので、できるだけ各階PSは上下通して設置することが望ましいと言えます。
水を運ぶパイプが通っているという性質上、水を使用する部屋の近くには必ず必要で、トイレや浴室、パントリーなどの近辺に設置することが多いです。
トイレとパントリーなどが近接しているときにPSもそれぞれ用で必要かといわれると、1スパンくらいであれば横引できるので、多く書きすぎてしまうと減点対象にされてしまう恐れがあるので注意が必要です。
また、1階に受水槽室などがある場合は1階のトイレなどには横引で配管を持っていくので縦動線であるPSは無くても大丈夫です。
DS(ダクトスペース)について
DSは給気・還気ダクトのためのスペースです。
役割やどこに設置するのが望ましいか見て行きましょう。
役割
1階の空調機械室や屋上の外調機などから建物の内部に空気を循環させるために必要なダクトを通している部屋です。
パイプを通しているPSなどと比較しダクトの方が大きい為、必然的にDSの方が大きな面積が必要になります。
必要な場合はどんな時?
DSが必要な場合は大きく下の3つのパターンが考えられます。
- 空調方式が単一ダクト方式の時
- 外気を屋上に設置の外気処理空調機から取り入れるとき
- 大空間にダクト接続型(床置き型)の室内機を設置するとき
単一ダクト方式の場合は1階に空調機械室が計画されることが多く、そこから各階にダクトで空気の循環を行っています。
空調機械室のある1階にはDSが不要となる点もポイントです。
外気処理空調機については空調方式がファンコイルユニット方式もしくは空冷ヒートポンプ・パッケージ方式の時に外気取入れを全熱交換器を使用しない場合に導入されることが多いです。
屋上の外気処理空調機から各階にダクトを通すためにDSが必要となってきます。
最下階にはDSが不要となる点もポイントです。
吹き抜けを伴う大空間などの空調で使用されることの多いダクト接続型室内機ですが、大空間専用の空調機械室上にDSが必要となります。
大空間の天井から吹いて、床近辺で吸い込むので、大空間の天井裏までダクトを通すスペースが必要なのです。
どこに設置するのがいいの?
PSに比べてDSは横にずれることが難しいので、原則各階同一の場所に設置する方が望ましいでしょう。
そのためコア回りなど、どの階でも邪魔にならなさそうな場所に設けることが多いです。
それぞれの階のDS上部から天井裏にダクトが走っているので、上の図のようにDSの周りをEVや階段などで固めてしまうとダクトがそのフロアに展開するためのスペースが無くなってしまうので注意が必要です。
EPS(エレクトリックパイプスペース)について
電源や通信ケーブルなどを各室に通すためのスペースです。
役割やどこに設置するのが望ましいか見て行きましょう。
役割
高圧で送られてくる電力を低圧に変圧する設備をキュービクルといい、そこから各階に電源を通すための部屋がEPSです。
キュービクルは室内、室外のどちらにも設置することができ、室内に設置する場合は1階などに電気室を設ける必要があります。
室外に設置する場合は、屋上や外構に設置することができます。
こう配屋根の場合は屋上に設置することができないので注意です。
外構に設置するときにはケーブルは地下を通って建物内に引き込むので、メンテナンス用のマンホールも一緒に計画することを忘れないようにしましょう。
どこに設置するのがいいの?
EPSはケーブルがいっぱい通っているので、各階同一の場所に設置することが望ましいです。
DSと同じようにコア回りに計画すると邪魔になりにくいのでオススメです!
PS、DS、EPSの位置を決めるタイミングは?
PSやDS、EPSなどは要求室を配置し終わってから場所を考え始めると、うまく配置できないことがあります。
では、どのタイミングでスペースを考えていくかというと、ズバリ要求室と一緒のタイミングです!
例えば水を使用する用途の部屋であれば確実にPSが必要になりますし、個別に空調機械室があるような吹き抜けの大部屋ではDSが必要になることが多いです。
また、EPSも建築物を上から下まで通す必要があるので、コア周りに階段とEVを配置する時に一緒に配置してしまうと、後々EPSが収まらないといったアクシデントを防ぐことができます。
要求室と合わせてPSやDS、EPSの場所も考えていけば後から必要だった場所に不足することもありません。
適切な設備計画も減点されないためには必要なことなので、たかがPSと思わずにしっかりと場所を用意してあげましょう!
PS、DS、EPSを素早く描いていく方法
製図中にPSやDS、EPSを素早く描いていくために僕が実践していた方法を解説します!
PSはフリーハンド
PSは製図試験では1×1マスで計画することが多いと思います。
非常に小さい部屋なので、平行定規を使用して作図していると時間がかかってしまいますよね。
そのため僕はPSをフリーハンドで描いていました。
壁厚も通常の部屋よりも薄くていいので、フリーハンドの方がキレイに早く描くことが可能です。
フリーハンドが苦手であれば、小回りの利く定規などを使用して描くのが速いと思います!
DSは平行定規
DSは2×2マスなどPSよりも大きく、壁厚もその他の部屋と同じくらいで描いていく必要があります。
そのため僕は平行定規を利用して縦の壁と横の壁を通して描いていました。
後から描き足すと一部消したり、場所どこだっけと探したり、最悪の場合描き忘れてしまう可能性があるので、要求室と合わせて平行定規で最初にまとめて描きあげてしまうようにしていました。
EPSは15cm定規とフリーハンド
EPSは階段やEVの近くに配置しているので、コアを書くときに一緒に描くようにしていました。
EPSは2×1マスなどそこまで大きくはないものの、コアを小回りの利く15cm定規で描いていたので、定規使いとフリーハンドを合わせて描いています。
建築物の上から下までまっすぐに通っていることが望ましいので、上下階で位置がずれないように注意しながら描いていくといいと思います!
まとめ
今回はPSやDSなどの設備系スペースの解説をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
空調設備など苦手意識を持っている方も多いと思いますが、仕組みを理解しておくと問題文に記載が無くても必要な部屋がわかるので、減点を減らすことができると思います。
設備について理解ができたら、今まで自分の作図した図面を見返してみて、PSやDS、EPSが必要なところに計画されているか、各階上下同一の位置に計画されているか見返してみるといいと思います。
それではまた。